ファンタジスタ

”ファンタジスタ”  最近サッカー雑誌などでこの言葉をとりあげている.プレッシングがどこのリーグ,国でも用いられるようになり個人の動けるスペースが少なくなってきた現在のサッカーにおいてファンタジスタが活躍する場は減る一方であろう.オフサイドトラップにきついマーク,オープンスペースのつぶしあい,とファンタジスタにとって不利な条件ばかりだ.

 

■定義があるのか
まずそのファンタジスタについて・・どういうプレーヤーをさすのだろうか. World Soccer Magazine 秋期号では 「華麗なテクニックでボールを操り,インスピレーションのままに思いもよらないアイデアを発揮すること」 のようだ.最近使われるようになった言葉なので本当に定義があるのか知らない.fantasyという英語から言っても 「創造力あふれたプレーで観衆を魅了する「ファンタジー」を作り出すサッカー選手」 のことをいっているのであろう.主にイタリアサッカーでいわれているだけで明確な定義はない.人それぞれ自分のファンタジスタがあっていいのだと思う.

 

    ■ファンタジスタの条件
    ファンタジスタの条件はなにか?まずそれを挙げよう.
  1. ドリブルが得意であること. ファンタジスタと呼ばれるにはサッカーの基本であるドリブルが,プロのレベルで他を圧倒するような技術を持っていないといけない.

  2. トラップ,リフティング(あまりゲーム中は使われないが) などボールコントロールが他の選手から抜きんでるほど優れていないとだめ

  3. 細かい,隙間のないところへでもパスが出せること.

  4. 攻撃ゾーン(守備ゾーンはほとんど問題にされない)全体を見渡せる広い視野を持っていること.

  5. 相手プレーヤー(時には味方プレーヤーまでも)を 「あっ」 と思わせるようなフェイント,パスを出せるような創造力にあふれた プレーをすること

  6. 真のストライカーであってはならない.(たまに華麗なシュートは見せても)

  7. これはまったく私見だけど,あまり身体が大きい選手はイメージ的にあわない.ファンタジスタは体力で相手を圧倒しない,技術とひらめきであっと言わせなければファンタジスタと呼べない.

上の条件の中でも特に4,5番が必須だろう.1,2,3がなくてはプレーに余裕がなく4,5は無理な話だ. 1,2,3の条件だけではファンタジスタと呼ぶことは出来ない.チームのゲームメーカーであれば当然求められる資質のはず.

僕はもう1つ加えたい.70年代のクライフ,ベッケンバウアーといったプレーヤーをファンタジスタとは呼びたくない.彼らチームのまたは国のあるいは世界の指揮官たちをファンタジスタと呼びたくない.ファンタジスタという響きからどこか1人我が道を行き,一瞬のプレーが冴えるプレーヤーをファンタジスタと呼びたい.いわんやこの2人はファンタジスタという範疇を飛び越えてしまっている.

それとこれは特にイタリアのサッカーにいえるのだが,リーグ全体がプレッシングを多用するようになると,選手のほとんどが余裕を持ったプレーが出来なくなる.こうなると守備に特に力を入れているセリエAでは特定のプレーヤーしか上に書いたようなコントロールは出来ない.このため超過密サッカーをするセリエAで特に騒がれる.

 

■誰がファンタジスタだ?(もちろん私見)
上の条件に当てはまる選手を時代の古い順に挙げよう.

プラティニ 主所属 ユベントス
クライフ,ベッケンバウアーと同様に世界の指揮官であるが,いい意味で力強さを見せずにプレーする.スピード,パワーよりも華麗なテクニックを優先させた80年代の将軍である.
ルンメニゲ

主所属 バイエルン・ミュンヘン
素早いドリブル,俊足を生かして数多くのゴールを奪った.華麗なテク ニックと雰囲気を併せ持った,”ミスターヨーロッパ” トップに位置しながら華麗なドリブルを身上にヨーロッパのエースとなった.シュート自体も華麗かつあっと言わせるシュートが多かった.得点力がありすぎるのはこのページでは玉に瑕.

マラドーナ 主所属 ナポリ
彼をファンタジスたと呼ばなければファンタジスタはいなくなってしまう.ドリブルとトラップだけで相手守備陣全員をかき回し,マークの甘くなった味方へラストパス.神の子でなければなせない技術である.彼に関して言うことは何もない.
カントナ 主所属 マルセイユ,リーズ,マンチェスターU
吸い付くようなボールタッチと天性のスピードから生まれるドリブルとパスワーク.さらにチャンスと見るやゴール前への突破力.中盤においても奇想天外とも思えるラストパスは「激情家」たる彼の天才ぶりを最もよく表している.
バッジョ 主所属 フィオレンティーナ,ユベントス
2005/3月追加.この人を載せていなくて読んだ方からおしかりを頂いた.「なんでバッジョがいないの?」  当時私はこの下に載せてあるゾラの大ファンだった.でも今考えると,ゴールエリアへ入ってからの意表を突くパス,思わぬところからのシュート.やっぱりファンタジスタであることは間違いない.
ゾラ 主所属 ナポリ,パルマ,チェルシー
マラドーナ譲りのボールをもった時の前線への突破力は素晴らしくシャープでゴール前へのラストパスは絶妙.そして何より彼の武器はFK.どのポジションからも蹴れる職人芸と呼べるものだ.
ルイ・コスタ 主所属 ベンフィカ・リスボン,フィオレンティーナ,ACミラン
プラティニに憧れた少年時代の夢を現実にしたベンフィキスタ(ベンフィカリスボンのファン)は現セリエAで本当の意味でファンタジスタと呼べる.中盤からトップにかけての視野の広さ,意表をつく長短おりまぜたパスなどファンタジスタという言葉は彼にふさわしい.
デル・ピエーロ 主所属 ユベントス
10代で当時ユベントスの象徴ロベルト・バッジョからポジションを奪う.性格でトリッキーなドリブル,あっと驚くパスを合わせ持った彼だが最近はジダンのプレーに才能がかくれがちだった.ジダンなきあとユベントスではFWとしてプレー.使われ方が違うと思いません??
ジダン 主所属 ボルドー,ユベントス,レアル・マドリー
アルジェリア生まれのフランス人のあこがれはやはりプラティニだ.そのプラティニをも凌ぐドリブルの早さ,正確なボールコントロールに他のファンタジスタには真似の出来ないボディバランスで1対1の強さももっている.左右両足でのラストパスも正確.ただし体格良すぎ,得点力ありすぎ.ジダンはいわばオールラウンドファンタジスタ.
サビオラ 主所属 バルセロナ
2004/3月追加. 若くて,小さくて・・ファンタジスタの条件にぴったり.現代のサッカーでは「マラドーナの5人抜き」的プレイは守備側が許さないだろう.そんな中で彼のゴール前で見せる正確なヒールパスやトリッキーなパスは味方も予想できないこともある.
アイマール 主所属 バレンシア
2005/3月追加. 翳りが見えてきたサビオラと同様にアルゼンチン出身.髪の毛クルクル,身体はやや小さめ,細め.現バレンシアのトップ下,ゲームメーカー.
ロナウジーニョ 主所属 バルセロナ
2005/3月追加.  ブラジル出身のこの選手は現サッカー選手でNO1の技術を持つ.ドリブル,パスどれをとっても相手を寄せ付けない.身体の動き1つで相手を振りきる.

 

 

■「ファンタジスタに入れなかった」プレーヤー
上表に入りそうだが,入れなかったプレーヤーは以下のプレーヤーおよび入れなかった理由.

  1. マテウス,ルート・フリット,ベーロン  彼らは中盤から前線への突破は馬力のあるドリブルを試みる.その突破力で自分自身の栄光を築いた.しかしファンタジスタとしてはパワーで突破してはいけない,あくまで華麗に.この3人はあっと驚くパスはまず無い.

  2. ボバン,グアルディオラ,エッフェンベルグ 1とは逆に彼らはパスは華麗に回す.しかし想像力豊かな驚くようなパスは少なく,左右の予想のつく場所へのパスが多い.それにドリブルでの突破力に乏しいのではずした.

 

最後に,
「ファンタジスタがファンタジスタに入れなかった選手より素晴らしいプレーヤーだ」  
とは考えてない. あくまでプレースタイルの違い,タイプ分けの結果. 念のため.